ムーミンパパの思い出

ムーミンパパの思い出

 ムーミンって、僕の幼少期にとって今でいうアンパンマンのような存在でした。アンパンマンより、いっそう優しく愛にあふれた、そして幻想的な世界観だったように記憶しています。「ねームーミン、こっちむいてー」という優しい歌があって、なんかムーミンの事を考えると、赤ちゃんに戻ったような甘酸っぱい気分になります…と思っていたら、原作は実はヤバイ…怖い…って感じで、えぇぇぇ、そうなんだ…って感じだったんですが、ムーミンパパは実は悲惨な人生を歩んでいたってうわさを聞きつけ、村上春樹のエッセイにもムーミンパパと数時間違いの産まれで大悪党がいるみたいなことが書いてあったような記憶もよみがえり、急にパパに興味が出てきたので、この本の購入とあいなりました。僕もパパですし。
 読んでみたら、僕の甘酸っぱいムーミンワールドは破壊されてしまいました…出る人?がいちいちフリーキーなんですよ…まともなヤツがいない…あ、ママは普通かなって程度で、みんなイカれているんです。それでワルが多いんです。バイキンマンみたいな悪い敵がいるっていうんじゃなくて、ムーミンパパもちょいワルなんです…そんでもってパパが青いんですよ…もう中二病なんです、夢と希望っていうか誇大妄想っていうか、「俺は特別な俺でありたい!」っていう思い込みが凄くて、パパってそうだったのね?っていう感じとともに、オッサンになり夢枯れ果てたが、幸せな家庭を持つことができた自分と重なります。ハッと気がついたらオッサンになったなぁ…かつては冒険の旅に出たが、幸せな家庭ではあるが刺激がほしいなぁ…っていう方にオススメです。
 ちなみに作者のトーベ・ヤンソンが絵も描いていて、「え!絵も上手いんだ!!って驚きました。」

最強伝説黒沢

最強伝説黒沢

 shi3zの長文日記で紹介されていて、なんか妙にひっかかったんですよね…福本伸行ってヤングマガジンでカイジは読んでいたんですけれど、人生の裏街道的な感じが、ちょっと苦手っていうか、読んでもスカッとしないかなって思って、どうしようかなぁ…と、グダグダしていたんですけれども、単身赴任の中年のオッサンである僕と、なんか通じるものがあるんじゃないかなぁ…と、思って寂しい週末に、ダメな感じっていうか、冴えない気分を味わいたくて読んでみました。
 Kindle版にしたんですけれども、一気に買うとマンガって結構なお値段なんですよね…もう、ジジイっていうか、昔の感覚が抜けていなくて、マンガって380円くらいな印象なんですよ。たぶん子どもの頃ってそれくらいだったと思うし、買えばボロボロになるまで何回も読んだのでコストパフォーマンスは高かったと思うんです。映画はVHSのレンタルが1500円という高額時代から、Huluで月額はあるけれど気持ち的にはタダになったので、相対的にマンガって高いなぁ…って感じなんです。僕は大人になってもマンガひとつ気軽に買えないのか…と、買う前から福本ワールドにひたりつつ、ポチりました。
 最初は思った通りの福本節って感じで、さびしい中年の心にしみました…速攻で黒沢が食べているアジフライを買いに行って、続きを読んだら、アレ?アレレ??っていうびっくり展開でした。中年のオッサンの日常系と思っていたら、展開が激しくて、石渡治のB・B以来の衝撃でした…中年になって、ドラゴンボール的な熱い気持ちも枯れてきましたな…そろそろオジイサンですな…と思っていたんですが、まだまだこれからだぜっ!って思わせてくれる傑作です。そういうわけで最近アジフライをよく食べます。

地球の長い午後

地球の長い午後

 かわいい娘(中3)は本が大好きなんですよ。僕も子どもの頃は本はけっこう読んだんですけど、パックマンのあたりからゲームにはまって、本は読まなくなりました。なんだかんだで娯楽がないから読んでたって感がします…が、娘はこの娯楽にあふれた二十一世紀にもかかわらず、本なんですよ…思春期の娘との接点がほしい!パパだって読書しちゃうよーって事で、ブックディレクターの幅允孝がブックディレクションをした「The Lobby」阪急梅田店に行ったら、難しそうな洋書とかオシャレな本に混じって、ハヤカワSF文庫があるじゃないですか。なんか装丁も素敵だし、タイトルも素敵なので、オシャレでロマンチックな小説なんだろうなぁと思ってコレを買いました。
 …で、読んでみたら凄いんですよ…「SFはだいたい白い光につつまれて、人類が進化するんだよー」「まぁ、どれもだいたい同じさ。」って子どもたちにイバっていたんですが、ぐぉっ!こんなのあるのかっ!!って感じでした。あとですね、SFっていうと、ジェイムズ・P・ホーガンの「星を継ぐもの」みたいな感じで、ポジティビティが基本になっていて安心して読めるイメージだったんですけど、これはちょっと違うんですよ…読んでいてどんどん不安になってくるんですよ…登場人物っていうか登場してくるもの?たちが、いちいちフリーキーでクレージーなんですよ。SFっていうよりオカルティックな不気味さを堪能して、一気読みした後にふるえながら寝ました…まぁ、そういう意味で色々な未来があるなっていうSF的な衝撃を久しぶりに堪能できました…と同時に、まだまだ読んでない本がたくさんあるなぁ…って新鮮な気持ちになりました。いい読書でした。

グルーヴィジョンズの道具大全

グルーヴィジョンズの道具大全

 この手の誰かが道具を紹介する本って大好きなんですよ。古くはバックパッキング教書とか遊歩大全のような名書から、最近のもろもろまで、ほんと好きです。これも「買っちゃダメだ!絶対ダメだ!!」大阪で言う所の「あかんやつ」だと思いつつも結局買ってしまいました…
 この手の本って、もちろん「物」に興味があって買うわけで、もうちょっと言うと、物を通じて未知の世界を知るっていうか想像するのが醍醐味なわけです…が、21世紀の今となっては、真に新しいものとか元祖とかド定番っていう概念は崩壊とまでは言わないけれども、ぼやっとしてきていて、日々工夫をこらした新製品が出るが故にコレは素晴らしいけど、いずれアップデートされるでしょー的な、ちょっとモノに対して冷めたっていうか距離を置き始めたっていうか、違うところを目指そうとか思わなくもない今日この頃だったんですが、なんかこう新しい世界観を提示されたように思います…
…というのは、セレクトが独特なんですよ。「これを選ぶ俺ってかっこいいでしょ?」的なよくありがちな事は全くなくて、最高スペックのもの紹介でもないし、エッジなものかというとそうでもないし、デザイン的に抜群かっていうと、そんなにそうでもないかな?みたいな…でも、魅力的なものばかりだし、全体に一本スジが通っていて、読んでいてなんか新鮮な気分になる素敵な本です。