Jaron Lanier : 人間はガジェットではない

 怒りに満ちた本です。パンクです。コンピューターの理想と夢、そして人間の本質がかいまみえます…Googleとかウェブ2.0とかクラウドとか現状を受け入れるのが、かっこ良くポジティブかつスマートだとは思うんですが、違うものは違うと反旗をひるがえした革命的な本です。
 ジャロン・ラニアーと言えばバーチャリリアリティーの始祖なので、僕にとってはアイドル同然なので、内容的にどんなつまらなくても読む!っていう意気込みのもとに即購入しました。
 何か最近おかしい!っていう違和感を丁寧に丁寧に説明してくれてます。勝手に引用すると…

 「デジタル革命は、二十一世紀にはいるころからおかしくなりはじめた。ウェブ2.0などと呼ばれる卑しきものがすさましい勢いでワールドワイドウェブを席巻したのだ。」p.16
 「このようなことは、正直、言いたくないし、まちがいであってくれればいいとも思う—-1990年代末から2000年代末にかけての10年間、先進国のポピュラー音楽にはスタイルと呼べるものがなかった。」p.231

…って感じで刺激的です。前半部は現状に対するケンカの売りまくりです…何となく最近面白くないなぁ〜っていうオヤジのぼやきではなく、初期の理想に裏打ちされているので読んでいてハッとさせられます。バーチャリリアリティーの研究者なだけに、人間の機械のような部分と、そうではない部分が真摯な説明によって浮き彫りになっているように思います。自分の「コンピューターもネットワークも便利にはなったけど何か違う…こんなはずじゃなかった…」っていう思いを肯定され勇気づけられました。
 ヒッピーテイストな方なんで、「未来はハッピー!いぇ〜い!!」的な、もっと軽妙な本なのかなぁって思ってたんですけど、意外と難しくてわからない部分も多かったです…が、現在のクラウドの拡大と量的変化ではない、質的な変化というか深化というか進化があるのかなぁ〜って部分をわからないなりに感じる事ができてドキドキしました。解答はこれだ!ドカーン!!って部分はなくてカタルシスには欠けるんですが、希望は見えるかなって感じです。何かTRON Legacyと通ずる部分もあって、もう一回TRON Legacyを見たくなる本です。
 あ、あと昔はジャロンじゃなくてシャロン・ラニアーって表記でしたよね?どうでもいいですが…